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菊地 紀宏; 森 健郎; 岡島 智史; 田中 正暁; 宮崎 真之
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05
原子力機構ではAI支援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)を開発している。その一部として、ナトリウム冷却高速炉(SFR)を含む先進原子炉プラントでの設計最適化プロセスを支援するツール(ARKADIA-Design)の整備を進めている。われわれはSFRの機器構造の設計最適化プロセスの構築を行っている。本論文では、設計最適化プロセスの概要、プロセスにおける評価手法の概要紹介、実現可能性の検討のために実施した最適化プロセスのデモンストレーションの結果について示す。原子炉構造の設計最適化において、SFRの代表的な課題として熱過渡と地震動を考慮した代表例題に基づき、最適化プロセスの開発を行っている。本最適化プロセスでは、異なるメカニズムによる破損に対する荷重の寄与率を比べるため、最適化の目的関数の要素として破損確率を用いた。デモンストレーションを通じて、開発中の最適化プロセスが代表例題に対して最適解を提示する見通しを得た。
高見澤 悠; Lu, K.; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; 宮本 裕平*; Li, Y.
JAEA-Data/Code 2022-006, 221 Pages, 2023/02
原子炉圧力容器(RPV: Reactor Pressure Vessel)は原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する重要機器の1つであり、中性子照射等に伴う高経年化を考慮した構造健全性確保が極めて重要である。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA: Japan Atomic Energy Agency)では、RPVの構造健全性評価に関する研究の一環として、確率論的破壊力学(PFM: Probabilistic Fracture Mechanics)解析コードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進めている。本コードは、加圧水型軽水炉(PWR: Pressurized Water Reactor)及び沸騰水型軽水炉(BWR: Boiling Water Reactor)を対象に、影響因子が持つ不確実さを考慮し、加圧熱衝撃(PTS: Pressurized Thermal Shock)事象や低温過圧事象(LTOP: Low-Temperature Over Pressure)等の過渡によるRPVの炉心領域部の破損確率や破損頻度を求めるものである。破壊力学や確率論的計算手法等に関する最新知見や国内RPVに適した評価手法・評価モデルを踏まえ、新規解析機能の導入を進めるとともに、系統的なコード検証活動を通じて信頼性向上を図ってきた。平成12年度に公開したPASCALでは、PWRのPTS事象を対象に、RPVの破損確率を解析する基本的な枠組みを整備した。平成18年度に公開したPASCAL2では、内部亀裂の評価手法や様々な非破壊検査による亀裂の検出性に関する評価モデル等を導入し、過渡事象データベースを整備した。平成22年度に公開したPASCAL3では、肉盛溶接クラッド部に着目して、亀裂の評価機能等を改良した。平成29年度に公開したPASCAL4では、応力拡大係数解や破壊靭性の不確実さを考慮した評価モデル等の改良により解析機能の高度化を図るとともに、影響因子の不確実さを認識論的不確実さと偶然的不確実さに分類し、不確実さを考慮した信頼度評価機能等を整備した。平成30年度以降は、これまでPWRのPTS事象を対象としたRPV内面側亀裂の評価機能に加えて、BWRの起動事象、LTOP事象等を想定したRPV外面側亀裂の評価機能等の整備を進めてきた。これらの機能整備を踏まえ、国内PWR及びBWRのRPVを対象とした確率論的健全性評価に資する解析コードとして、PASCAL5へとバージョンアップした。PASCAL5はPFM解析モジュールであるPASCAL-RV、PASCAL-RVの入力データの生成やRPV炉心領域部を対象とした破損頻度の算出を行うモジュールであるPASCAL-Manager、付録として附属する簡易的な熱応力解析を
永瀬 文久
Annals of Nuclear Energy, 171, p.109052_1 - 109052_8, 2022/06
被引用回数:2 パーセンタイル:53.91(Nuclear Science & Technology)冷却材喪失事故において、酸化されたZr合金被覆管がスペーサーグリッドにより急冷時に強く拘束されると燃料の破損限界が低下する。したがって、軸方向拘束の現実的なレベルを推定することが、燃料の安全性に関するひとつの課題である。本研究では、PWR型模擬燃料セグメントと33グリッド片からなる試験体を、水蒸気中で加熱,冷却、および急冷し、燃料セグメントにかかる軸方向拘束力を測定した。ジルカロイ製グリッドの拘束力は温度とともに徐々に低下した。1060K以上に加熱されると、拘束力の低下は回復しにくく、冷却および急冷時の最大拘束力は以下10Nであった。インコネル製グリッドについては、拘束力が以上1070Kで明らかに減少したが、冷却により部分的に回復した。インコネル製グリッドによる最大拘束力は20から50Nであった。従来研究で予測されたような非常に強い拘束は、グリッド位置での酸化,膨れ,破裂、または共晶形成によって起こる可能性は一般的には低い。
内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; 大島 宏之
日本機械学会論文集(インターネット), 86(883), p.19-00353_1 - 19-00353_6, 2020/03
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器において、伝熱管破損時のナトリウム-水反応現象の影響による破損伝播の発生有無と水リーク率を評価することが重要な課題となっている。既往研究において、事象が終息するまでの長時間事象進展におけるウェステージ型破損伝播を評価対象とする解析手法が開発された。本研究では、ウェステージ型破損伝播に加え高温ラプチャ型破損伝播を評価対象に含めるため、これに対応する解析モデルを開発、追加した。ナトリウム-水反応試験を対象とした解析を実施し、解析手法の妥当性を確認した。
倉田 正輝; Barrachin, M.*; Haste, T.*; Steinbrueck, M.*
Journal of Nuclear Materials, 500, p.119 - 140, 2018/03
被引用回数:29 パーセンタイル:66.35(Materials Science, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所(1F)事故により、燃料破損現象の再評価の重要性が指摘された。本論文では、BWR燃料集合体レベルでのマクロな視点から、メゾスケールの要素反応に関する視点までの現象論にフォーカスして、燃料破損に関する知見のアップデートについて、レビューする。BC制御棒の酸化は、BWRの事故においては、原理的により多くの水素と熱の発生原因となる。BC制御棒を用いた各種の総合型試験では、1250Cあたりで(燃料の急速な破損温度よりはるかに低い温度で)、制御棒の早期破損と溶融、さらに下方への移動と酸化が開始されることを示している。これらの制御棒破損は、原理的に、炉心溶融の初期過程に大きく影響する。水蒸気枯渇条件(1F事故で発生した可能性が指摘されている)は、燃料破損進展の傾向に大きく影響し、従来想定されていた典型的な事故進展と異なる化学的な傾向に燃料を溶融させる可能性が高い。要素反応の現象論の詳細とそれらの現象の炉心溶融後期過程への影響についても議論する。
内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; 栗原 成計; 浜田 広次; 大島 宏之
JAEA-Research 2017-007, 61 Pages, 2017/07
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器に対する安全評価では、伝熱管破損時のナトリウム-水反応現象の影響による破損伝播の発生有無と水リーク率を評価することが必要である。既往研究において、ウェステージ型破損伝播を伴う長時間事象進展解析コードLEAP-IIが開発されたが、将来炉の新型SGでは水・蒸気系の高温・高圧化が指向されていることから、高温ラプチャ型破損伝播も評価対象に含めることが重要な課題となっている。そこで、本研究では高温ラプチャの発生有無を評価する解析モデルを構築し、LEAP-IIコードへ導入した。本解析モデル導入後の解析コードをLEAP-IIIとした。本解析モデルの機能確認として、伝熱管群の存在する体系におけるナトリウム-水反応試験を対象とした解析を実施した。本解析では水リーク管周辺における模擬伝熱管で高温ラプチャが発生する結果が得られ、解析モデルが正しく機能し、なおかつ保守的な評価結果を与えることを確認した。
梅田 良太; 栗原 成計; 下山 一仁
JAEA-Technology 2016-030, 50 Pages, 2016/12
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器において伝熱管が貫通破損した場合、高温・高速かつ高アルカリ雰囲気の反応ジェットが生成される(ナトリウム-水反応)。反応ジェットが隣接する伝熱管全体を覆うと、伝熱管の高温化によって機械的強度が低下し、伝熱管内圧で膨出破損に至ることがある(高温ラプチャ)。高温ラプチャの評価では、伝熱管温度に相当する伝熱管材料のクリープ強度を材料強度の基準値(破損クライテリア)としており、内圧による管壁のフープ応力と当該破損クライテリアを比較することで破損を判断する。このため、高温ラプチャ現象を模擬した伝熱管破損実験から得られる知見を踏まえて、破損クライテリアの妥当性を確認することが非常に重要である。本報告書では、原子力機構が所有する伝熱管破損模擬試験装置(TRUST-2)を用いて、高クロム系鋼の細径伝熱管の単管試験体及び密着型の二重試験体を対象に、最高1500Kまでの超高温条件で内圧加圧型の急速加熱伝熱管ラプチャ実験を行い、破損形態や破損強度特性などを明らかにするとともに、破損クライテリアの妥当性を検討した。
相原 純; 後藤 実; 稲葉 良知; 植田 祥平; 角田 淳弥; 橘 幸男
Proceedings of 8th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2016) (CD-ROM), p.814 - 822, 2016/11
原子力機構(JAEA)は、耐酸化性向上のため高温ガス炉(HTGR)の燃料要素へのSiC/C混合母材の適用に関するR&Dを開始している。このR&Dの一部として、SiC/C混合母材燃料コンパクトを使ったHTGRの核熱設計を行った。核熱設計は、途上国用の小型HTGRであるHTR50Sをベースに行った。日本における製造実績を考慮し、ウランの濃縮度の上限は10wt%とし、濃縮度と可燃性毒物(BP)の種類はベースとしたHTR50Sと等しい(各々3及び2種類)とした。以上の制限内で、我々は本来のHTR50Sと同等の性能を持つ炉心の核熱設計に成功した。この核熱設計に基づき、通常運転時の被覆燃料粒子の内圧に対する健全性は保たれると評価された。
天谷 政樹; 宇田川 豊; 成川 隆文; 三原 武; 谷口 良徳
Proceedings of Annual Topical Meeting on LWR Fuels with Enhanced Safety and Performance (TopFuel 2016) (USB Flash Drive), p.53 - 62, 2016/09
軽水炉用改良型燃料について、現行の安全基準の妥当性及び安全余裕を評価するため、また今後の規制のためのデータベースを提供するため、原子力機構ではALPS-IIと呼ばれる原子力規制庁からの委託事業を開始した。この事業は、商用PWR及びBWRで照射された高燃焼度改良型燃料を対象として、主として反応度投入事故及び冷却材喪失事故を模擬した試験から構成されている。最近、高燃焼度改良型燃料のRIA時破損限界がNSRRにて調べられ、パルス照射試験後の燃料を対象とした照射後試験が行われている。LCOA模擬試験に関しては、インテグラル熱衝撃試験及び高温酸化試験が燃料試験施設で行われ、高燃焼度改良型燃料被覆管の破断限界、高温酸化速度等が調べられた。本論文では、この事業で取得された最近のRIA及びLOCA模擬試験結果について主に述べる。
諸橋 裕子; 鈴木 敏
JAEA-Technology 2014-045, 116 Pages, 2015/03
もんじゅの破損燃料検出装置(FFDL)は、タグガスにより破損燃料を同定するタギング法を採用している。これはあらかじめ燃料集合体ごとに同位体組成比の異なるKrとXeの混合ガスを各燃料ピンに封入しておき、燃料破損時に1次Arガス系へ放出されたタグガスを回収、同位体組成比を分析し、破損燃料を同定するものである。設計上、希ガス濃縮率200倍以上で破損燃料を同定できるとされており、過去の試験では、希ガス濃度1ppmの試料ガスにて200倍以上の濃縮率を確認している。一方、燃料破損時にはタグガスのKr, Xeは極低濃度希ガスとなることが想定されるため、このような極低濃度希ガスに対しても設計上の要求を満たす濃縮率であることを確認する必要がある。また、FFDLには1次Arガス系の希ガスBG濃度を測定することも求められている。以上を踏まえ、極低濃度希ガスによる希ガス濃縮率確認試験を実施した。さらに、この試験で得られた希ガス濃縮率を用いて、現状の1次Arガス系Arガス中の希ガスBG濃度を評価した。FFDL単体運転による希ガス濃縮率確認試験の結果、極低濃度希ガスに対して数万倍の濃縮率が得られ、設計上の要求を満たすことを確認した。
伊藤 裕人*; 鬼沢 邦雄; 柴田 勝之*
JAERI-Data/Code 2005-007, 118 Pages, 2005/09
軽水炉構造機器の健全性に関する研究の一環として、確率論的破壊力学解析コードであるPASCAL-SC及びPASCAL-EQを開発した。これら両コードは、安全上重要な配管溶接部の破損確率をモンテカルロ法により評価するものである。PASCAL-SCは経年劣化事象として応力腐食割れ(SCC)を対象とし、またPASCAL-EQは地震荷重等による疲労き裂進展を対象としたコードである。これらのコードは、破壊力学の最新の知見や計算機性能向上を踏まえ、非定常な地震荷重によるき裂進展が評価可能であると同時に、応力拡大係数や破断判定法に最近の破壊力学的知見が盛り込まれている。また、GUIによる入力データ作成,解析(計算)実行,解析結果のグラフ描画が可能であり、操作性の向上も図られている。本報告書は、PASCAL-SC及びPASCAL-EQの使用方法と解析理論及び手法をまとめたものである。
杉山 智之; 更田 豊志; 小澤 正明*; 永瀬 文久
Proceedings of 2004 International Meeting on LWR Fuel Performance, p.544 - 550, 2004/09
改良被覆管を備えた燃焼度約60GWd/tのPWR UO燃料を対象として2回の反応度事故模擬実験を行った。MDA被覆及び大粒径(約25m)ペレットを備えた燃料棒に対しピーク燃料エンタルピー条件435J/gで実施したOI-10実験では、約0.7%の被覆管周方向残留歪が生じた。一方、ZIRLO被覆及び従来ペレットの燃料棒に対して行ったOI-11実験では、燃料エンタルピーが500J/gに達した時点でペレット被覆管機械的相互作用(PCMI)による燃料破損が生じた。発熱部全長に及ぶ縦割れが被覆管に生じ、微粒子化した燃料ペレットが冷却水中に放出された。破損時の燃料エンタルピーは、当該燃焼度に対するPCMI破損しきい値209J/gを大きく上回っていた。本実験の結果は、従来のジルカロイ4と比較し、耐食性が向上した被覆管がPCMI破損に対してより大きな安全余裕を持つことを示した。
宮崎 則幸*; 萩原 世也*; 茅野 栄一*; 丸山 結*; 橋本 和一郎*; 前田 章雄*
JAERI-Research 2001-047, 35 Pages, 2001/10
原子炉のシビアアクシデント時には、損傷炉心から流入する高温気体からの伝熱や核分裂生成物の崩壊熱によって原子炉冷却系配管が加熱されるが、内圧が高い場合には、高温での短時間クリープで配管が破損する可能性がある。このような配管の構造健全性評価のためには、従来ほとんど考慮されなかった第3期クリープ挙動をも考慮したクリープ構成式を用いて、精度の良い予測法を開発する必要がある。そのため、Kachanov-Ravotnovの等方性損傷理論を用いて第3期クリープ挙動を考慮したクリープ構成式を作成し、別途取得した実験データをもとに構成式の定数を決定するとともに、得られた構成式を用いて等温及び非等温の各クリープ条件で配管の局所有限要素法解析を行った。その結果、損傷変数によって内部損傷の定量評価が可能であり、特に、配管外壁から破損するという、円管を用いた配管高温負荷試験での結果を良く再現することができた。
北野 剛司*; 更田 豊志; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-041, 24 Pages, 2001/08
水素化物リム生成が被覆管の円周方向機械特性に与える影響を定量的に評価するために、人工的に水素化物リムを生成させた被覆管の改良リング引張試験を実施した。室温における試験の結果、水素化物リムは脆く、変形初期において亀裂が生じるため、破断歪みは水素化物リム厚さの増加とともに著しく減少することがわかった。一方、573Kにおける破断歪みは、リム部の水素化物密度にも依存し、比較的厚い水素化物リムが生成していても、その密度が低い場合は大きな値を示した。延性-脆性のしきいとなる水素化物密度があり、そのしきい密度が温度とともに大きくなるため、水素化物密度の小さいリムは延性を示し、その結果、比較的厚い水素化物リムが生成している場合でも破断歪みは大きくなると考えられる。
草ヶ谷 和幸*; 中村 武彦; 吉永 真希夫; 小此木 一成*; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-010, 44 Pages, 2001/03
2種のジルコニア型岩石燃料の反応度事故条件下における挙動を原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いたパルス照射実験により調べた。その結果、これらの燃料の破損しきいピーク燃料エンタルピ(単位燃料体積あたり)は、ともに10GJ/m以上で、UO燃料のそれと同等あるいはそれ以上であることがわかった。しかし、これらの破損形態はUO燃料とは異なり、燃料ペレットの大半の溶融及びその破損開口部から冷却水中への放出が見られた。高温に達し強度の低下した被覆管が内圧により破裂したものと推察される。燃料の放出に伴う機械的エネルギーの発生は、本実験の範囲(12GJ/m以下)では観測されなかった。
秋江 拓志; 中村 武彦
Progress in Nuclear Energy, 38(3-4), p.363 - 370, 2001/02
被引用回数:6 パーセンタイル:44.09(Nuclear Science & Technology)プルトニウム岩石型酸化物燃料(ROX燃料)は燃料温度係数が小さく、反応度事故(RIA)時のふるまいが大変厳しくなる。これを改善するために、ROX燃料中にUO,ThO,ErO等を添加したり、あるいはUO燃料炉心中に部分的にROX燃料集合体を装荷するなどして燃料温度係数の値を大きくしたROX-PWR炉心の設計研究を行った。設計研究の一方、ROX燃料ピンのRIA時の挙動を実験的に検討するため、NSRRにおけるパルス照射を行った。現行のUOピンとROXピンではRIA時の破損のメカニズムは異なるものの、燃料単位体積あたりのRIA時エネルギー蓄積量で表した燃料ピンの破損しきい値はUOとROXで同程度となることがわかった。
黒田 雅利*; 山中 伸介*; 永瀬 文久; 上塚 寛
Nuclear Engineering and Design, 203(2-3), p.185 - 194, 2001/01
被引用回数:14 パーセンタイル:68.97(Nuclear Science & Technology)反応度事故条件下における軽水炉燃料棒の破損挙動を解明するために、水素吸収管の破壊に関する解析を破壊力学に基づき行った。応力強度因子(SIF)、J積分及び塑性降伏荷重といった破壊力学パラメータを用いて破壊評価ダイヤグラム(FAD)を構築し、被覆管の破壊応力を評価した。FADから予測される被覆管の破壊応力は、原研が実施したNSRRパルス照射試験や高速加圧バースト試験の結果と定量的に一致した。
山下 利之
日本原子力学会「高度燃料技術」研究専門委員会報告書, p.467 - 474, 2001/00
余剰Puを消滅させるための岩石型燃料(ROX)と不活性マトリクス燃料の研究の現状を紹介した。ワンススルー燃焼のROX-LWRシステムは、核拡散抵抗性,環境安全性及びPu消滅率の観点から優れた特徴を有する。不活性マトリクス及び燃料照射の研究から、最も有望なROX燃料として、Puと若干の添加物を加えた安定化ジルコニア粒子をスピネルマトリクス中に均質分散させた粒子分散型燃料を提案した。また、炉心安全解析から、ROX燃料装荷PWRは反応度事故や冷却水喪失事故条件下でも現行UO装荷PWRと同等の安全性を有することが示された。反応度事故を模擬したパルス照射試験においても、ROX燃料の破損しきい値はUO燃料と同等であることがわかった。ROX燃料を用いた場合のPu消滅量はMOX燃料と比べ約2倍となる。
山下 利之; 蔵本 賢一; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 二谷 訓子; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 大道 敏彦*
Proceedings of Workshop on Advanced Reactors with Innovative Fuels (ARWIF 2001) (CD-ROM), 10 Pages, 2001/00
軽水炉で余剰Puを燃焼させる岩石型燃料軽水炉燃焼システムは、Puのほぼ完全な燃焼と使用済燃料の直接処分を特徴とする。岩石型燃料は安定化ジルコニア(YSZ)とスピネルまたはアルミナから構成される燃料で、PuはYSZ中に固溶させる。YSZは不活性マトリクスとして優れた特性を有するが、熱伝導率が低い。これを補うためスピネルやアルミナとの混合物を用いる。照射損傷領域を低減させるためYSZ粒子をスピネルまたはアルミナマトリックス中に均質分散された粒子分散型燃料を開発した。粉末混合型及び粒子分散型燃料の照射結果を概括・報告する。また、岩石型燃料は高いPu消滅率を達成できる反面,燃料温度係数が極端に小さい。これを改善する方法としてU,Th,Er等の共鳴核種の添加が有効であることを示した。反応度事故条件下での燃料破損しきい値はNSRR実験より、現行のUO燃料と同等以上であることがわかった。
杉山 智之; 更田 豊志
JAERI-Tech 2000-067, 29 Pages, 2000/11
NSRRでは、反応度事故条件下における燃料挙動を明らかにするため、燃料のパルス照射試験を実施している。燃料が破損した場合に懸念される事象のひとつとして、原子炉容器内での機械的エネルギー発生が挙げられる。ここで、機械的エネルギーとは、燃料破損に伴い発生し得る水撃力及び衝撃圧力が持つエネルギーを意味しており、原子炉構造物の破損を引き起こし得るものである。よって、原子炉の安全性を評価するうえで、機械的エネルギー発生量は必要不可欠な情報である。NSRR実験では、水撃力による機械的エネルギー発生量を、燃料破損時に飛び上がる水塊の運動エネルギーとして評価している。その際、水塊の上昇速度を計測するために、浮き子式の水塊速度計を用いている。本報告書は、この水塊速度計の特性及びNSRR実験におけるデータ処理方法をまとめたものである。